1.想定事例(平成30年1月1日以降に相続発生)
事例所在地:東京都世田谷区〇〇〇〇〇 普通住宅地区
地積:1000㎡ 用途地域:第1種低層住居専用地域(40/80)25m×40mの長方形画地
➀鑑定評価額(時価)600,000,000円
➁地積規模の大きな宅地の評価額 404,586,000円
➀の鑑定評価額は、鑑定評価基準に則り取引事例比較法、収益還元法、開発法により求めた3価格を関連づけて決定した(詳細省略)。
➁の価格は以下の通り求めた。
前面路線価 奥行価格補正率 規模格差補正率
570,000円/㎡ × 0.91 × 0.78 × 1000㎡ =404,586,000円
2.問題点
・相続財産が本件土地のみの場合
・法定相続人が子2人(長男と次男)の場合
・相続税申告は404,586,000円で行う。
相続財産は長男が相続する旨の遺言がある場合、次男の遺留分1/4が侵害されています。遺留分減殺請求の申し入れがあった場合、侵害額は時価を前提にするので、
600,000,000円×1/4=150,000,000円が侵害額になる。
相続財産を法定相続分で分割する場合、一般的には土地は売却せず、長男か次男のどちらかが一方に代償金を支払うことが想定される。その場合は、
600,000,000円×1/2=300,000,000円が代償金となる。
代償金算定や遺留分減殺請求の前提となる価額は時価であり、時価の把握には、鑑定評価額を活用すべきと考えます。但し、代償金算定の前提になる価格は、当事者間の合意により決まるので、時価以外で決まることもあり得ます。