・日銀の異次元の金融緩和が、REITによる投資不動産の買い取りを促進させ、更には昨年9月に2020年の東京オリンピック開催決定されたことが都心の不動産価格の上昇を加速させています。
・中古住宅や中古マンションの一般住宅市場は、2012年に回復傾向を示していたものが、2013年には回復が加速したものとなった。平均成約価格を見ると、都区内の中古マンションの2013年の対前年比では5%近い上昇率を示しているが、都下、千葉、神奈川、埼玉では微増にとどまっている。
・2014年の公示価格は、銀座4丁目の公示地の年間上昇率を10%近いものとしたが、周辺の転売事例は年間上昇率が30%を超えるものも見られた。異次元の金融緩和とオリンピック決定による先高期待感がこの上昇をもたらしたものである。
・都市のビジネス地区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)のオフイス空室率は、2014年3月時点で6.7%と5年ぶりに6%台に改善されている。平均賃料は2013年後半に下落から横ばいになり、2014年に入って、わずかに上昇傾向となっている。
・収益価格(不動産純収益を投資利回りで割る価格)でみると、都心における土地価格の上昇は、既述の通り、賃料はほぼ横ばいであるので、不動産投資利回りが下がって、価格上昇が生じたものである。投資利回り(キャップレート)は、無リスク金利(10年国債利回り:現在0.6%程度)にイールドスプレッド(不動産投資リスクから純収益期待成長率を引いて求める率)を足して求めるが、土地価格が上がりそうだという期待が高まると、このイールドスプレッドが縮小してキャップレートが下がる。その結果、不動産価格が上昇する。
・都心の一等地のキャップレートはこの1年間で4%台が3%台に低下してきています。過去のイールドスプレッドの数値からは現状がピークとは言えず、まだ若干のキャップレート下落余地はあると予測できる。
・今後の地価予測すると、既述の通り、賃料上昇は緩やかに推移すると予測され、賃金上昇も大方の企業が賃金の長期的な上昇に慎重であることなどから、この上昇には限界があると思われます。オリンピックに関しても、関連商業施設(ホテル、物販・飲食店舗等)の企画・土地仕入れ・建物建設期間を考えると、都心地価も2020年の2~3年前(今後3~4年程度)がピークになるのではと予測される。総合的な見地からは首都圏の不動産価格のさらなる急激な上昇は考えにくいと言える。
・相続対策で言えば、今後数年は不動産価格の上昇が見込まれ、逆に言えば現金の価値は土地が上昇した分、下落するといえる。今が、現金を不動産に替える良い時期といえるであろう。不動産を購入することにより路線価格による評価減や、貸家建付地評価減、貸家評価減等を受けることができるメリットもあります。