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借地権と相続対策

1.借地権とは

・借地法に規定された建物所有目的の地上権および賃借権である。

2.借地権の対抗要件

・第3者に対抗する要件は、➀借地権の登記②借地上に建物が存在すること③建物に借地人名義の登記があること。

・建物が火事や自然災害などにより滅失したときは、滅失から2年間は、借地権者がその土地の見やすい場所に、滅失建物に関する登記記載事項、滅失日、新しく建物を建築する旨を掲示することで、第3者に対抗できる。

3.借地契約の更新

・期間の定めのある借地契約は、地主・借地人の双方が合意して解約しない限り、原則、その期間の満了をもって更新される。

・借地契約の期間は、堅固な建物で30年以上、非堅固建物(木造)で20年以上とされており、これ以下の期間は、無効とされ、期間の定めの無い借地契約となる。

・契約期間満了に伴い、地主と借地人の話し合いのもとに契約更新することを合意更新といい、通常、更新料が借地人から地主へ支払われる。但し、法律上支払い義務があるわけでは無く、一般的な取引慣行として行われており、両者の間で紛争の原因となりうる。額の目安は、更地価格の3~5%程度。

・更新の条件が折り合わず、更新についての地主の承諾が得られない場合でも、法定更新により借地権を失うことはない。但し、増改築、建て替え、売却などの将来的な事柄を考慮した場合、更新料支払いによる円満な合意更新を図るべきである。

・地主は正当事由無く更新の拒絶はできない。更新の拒絶をした場合、借地契約は法定更新され20年間の借地契約が成立する。地代の受け取りを拒絶された場合は、必ず供託すべきで、これにより支払い済みの証明となる。

・更地価格が高額な場合、更新料も高額なものになる。一括支払いが困難な場合は、地主との交渉により、更新料の分割支払いを求めることも考えるべきである。合意したら、分割払い契約書を作成する。

4.更新拒絶の正当な理由とは

➀地主と借地権者それぞれが、その土地を必要とする事情が考慮される。

②借地権が設定されたときの事情、権利金、更新料の支払いの有無、地代の支払い状況などが考慮される。

③現状の利用状況がどうかが考慮される。

④明け渡し条件内容や立ち退き料の支払い申し出及びその額などが考慮される。

その土地をどちらが本当に必要としているのか、上記の内容を考慮して更新か明け渡しかを判定する。

5.各種承諾料

・増改築とは、増築は建て増しで、改築は建物の一部又は全部を取り壊して新たに建て直すことを意味し、契約に禁止特約がなければ原則自由である。禁止特約がある場合も、無い場合も通常、地主の承諾を求めるが、その際に承諾料の支払いがされる。更地価格の2~5%程度が目安で、一部改築、建て増しは規模により適当額を判断する。

・非堅固建物(木造)から鉄筋コンクリート等の堅固建物に建て替えることを借地条件の変更という。地域の事情が変わり、防火地域の指定がされた場合には、堅固建物に建て替える必要があり、建て替えの際には、借地条件の変更を地主へ求めることとなる。承諾料の目安は更地価格の10%程度である。

6.地主の承諾拒否

・建物の増改築、木造から鉄筋コンクリート造などの堅固建物への建て替え、借地権の譲渡(借地権価格の10%程度)、借地の転貸には地主の承諾が必要である。協議がととのわず、承諾が得られない場合、地主に代わり裁判所がその承諾を与える。

7.貸宅地整理

・相続人が作る同族会社が、借入金で地主個人から貸宅地を買い取り、保有し、貸宅地経営を行う。

事例内容:以下

面積:1000坪 借地人30人

路線価:100万円/坪 借地権割合60%

更地価格:@100万円×1000坪=10億円

借地権価格:10億円×60%=6億円

個別価格:6億円÷30人=2000万円

底地価格:10億円×40%=4億円

地代:@500円/坪 500円/坪×1000坪×12=600万円(年間収入)

・整理法

➀相続人が同族会社を設立

②同社が銀行借り入れにより地主個人から貸宅地を1億円で買い取る。

利回り6%での買い取り

600万円÷6%=1億円

③地主は譲渡所得発生

1億円×(1-5%)×20%=1900万円

④地主は、残りの8100万円で、べつに所有する更地にアパート建設

アパートの相続税評価額

8100万円×70%(固定資産税評価)×70%(貸し家評価)≒4000万円

⑤地主の相続税の変化(最高税率50%適用)

対策前:4億円×50%=2億円

対策後:4000万円×50%=2000万円

⑥節税額:2億円-2000万円-1900万円≒1億円6000万円

 

 

 

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