1.モデル家庭
・家族構成 父75歳、子3人(長男、長女、次男)は、それぞれ独立、別居。
・相続財産 自宅 都内、土地160㎡(約48坪)、建物(築30年)、金融資産 0円、負債 0円
・相続税評価額 前面路線価500,000円/㎡×160㎡=8000万円 建物は0とする。
2.平成27年1月以前に父が死亡し、相続発生した場合の相続税
・基礎控除 5000万円+1000万円×3人=8000万円 従って相続税は0円
3.平成27年1月以降に父が死亡し、相続が発生した場合の相続税
・基礎控除 3000万円+600万円×3人=4800万円
・相続税は、8000万円-4800万円=3200万円
・子1人 3200万円×1/3(法定相続分)=1066万円
1人の相続税 1066万円×15%-50万円≒110万円 110万円×3人≒330万円
330万円も増税となっています。
・首都圏においては、このようなモデル家庭と類似した家庭はかなりの数、存在すると考えられます。子1人や2人による相続は、基礎控除額が減り、相続税は更に増えます。
・子が2人の場合
基礎控除 3000万円+600万円×2人=4200万円
1人の相続税 8000万円-4200万円=3800万円
3800万円×1/2(法定相続分)=1900万円
1人の相続税 1900万円×15%-50万円=235万円 235万円×2=470万円
・子が1人の場合
基礎控除 3000万円+600万円×1人=3600万円
8000万円-3600万円=4400万円
4400万円×20%-200万円=680万円
4.今すぐ出来ること
・所有土地の相続税評価額を概算してみる。ネットで相続税路線価を調べることが出来ます。
・前面路線価に所有土地の面積を乗じて評価額を出してみましょう。40~50坪前後の面積で通常の間口、奥行きの長方形や正方形の土地であれば、上記で求めた評価額から、基礎控除額を控除した残りの価額が課税価格です。建物は固定資産税評価額が相続税評価額となります。
5.相続対策
・相続対策の基本は、①分割の可能性②納税準備③節税です。
・上記モデル例では、以下の相続対策が考えられる。
・マンションを3戸購入、1戸は自宅、残り2戸は賃貸する。賃貸2戸は土地、建物とも貸家建付地、借家権の評価減が使えて評価額が下がります。小規模宅地の特例による評価減も使えるので、さらに50%は下がります。賃貸収入を蓄えて納税資金準備を行う。相続が発生した場合は、マンション1戸ずつを3人の兄弟で分けることが出来ます(分割の可能性を高める)。
6.対策を講じない場合
・自宅部分をそのままにして節税対策をしないと、上記の相続税がかります。又、相続後、自宅を3分割することは難しく、兄弟間の紛争の種に成りかねません。分割できず、換価処分をすれば、相続物件として買い手は、買いたたくことが予想されます。相続税は、相続発生から10ケ月以内の一括納付が原則であり、それを過ぎると延滞金が発生するので、どうしても売り急ぐ傾向があるのです。